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Conversations with

Vanessa Stofenmacher

BY ジゼル・ゴー

Vrai and Oro

LAを拠点とするデザイナーVanessa Stofenmacher(ヴァネッサ・ストーフェンマッカー)を初めて知ったのは、共通の友人を通してだった。嵐の東京の夜、私たちは刺身と酒越しに、ファッションの未来や現代社会におけるサステナビリティーについて会話をした。Vannesaはシックなジュエリーブランド、Vrai and Oro (ブライ・アンド・オロ、訳:真実とゴールド)のオーナーで、このトピックについては誰よりも詳しい。Vrai and Oroは透明性を理念とするファインジュエリーブランドで、中間業者を抜き消費者に直接届けることによって価格を下げた製品を提供している。その他でダウンタウンLAにある製造業者だけを支援したり、ゼロカーボンフットプリントの養殖ダイヤモンドのみを扱う会社でもある。

「養殖ダイヤモンド」とは要するに、ラボで作られたダイヤのことだ。シリコンバレーにあるDiamond Foundry(ダイヤモンド・ファウンドリー)は、俳優レオナルド・ディカプリオなどの著名人が投資家に名を連ねていて、太陽光を使い完璧なダイヤを地上で育てている。天然ダイヤモンドの供給が2030年までに減少する最中で、Diamond Foundryの人工ダイヤは今日の市場で探せる最も倫理的でサスティナブルなオプションだ。「原子的には採掘されたダイヤと全く同じです。」とVanessaは言う。違いと言えば形成される過程で人が影響を与えているかいないかで、人工ダイヤモンドは強制労働などが用いられていない、コンフリクト・フリーの最もピュアな形の結果物である。

Vanessaは穏やかな口調の野心家で、既に周りからは高い評価を受けている。年初には、米メディアForbesの「30 under 30」リストにも挙げられた。現在彼女はグローバルに事業を展開するプランを立てていて、日本もそのうちの一つとして捉えている。彼女のイノベーティブなブランドに魅了された私は、ただのすれ違いで終わったかも知れない私たちの縁を、東京を訪れた起業家をインタビューすることに繋げた。

こんにちは、Vanessaさん!自分について聞かせてください。

出身はニューヨークの北部です。でも大学時代を含めて、今はもうロサンゼルスに11年間住んでいます。大学はOTIS College of Art and Designを卒業しました。

当時はグラフィックデザインのスタジオを持っていて、小さなスタートアップ企業のブランディングやウェブサイトを構築する仕事に携わっていました。自社のブランドやアイデンティティにクリエティブなメイクを着せて欲しいと言う依頼が多くて、ロゴや彩色、ガイドラインを作っていました。でも会社に真の価値を与えている感じがしなくて。ずっと本物のバリューとブランドアイデンティティを作り上げたいと思っていたんです。

ロサンゼルスのVrai and Oro本社で /  Vrai and Oro特製品の繊細な14Kのゴールドフープは、スタリッシュだけでなく頑丈で、デイリーでつけていても曲がらないクォリティーだ

「ジュエリー産業の真実を知ってしまって、自分探しをしながら私はなんでファインジュエリーをつけないんだろうと自分に問いかけたんです。で、自分に響く点がないからだと気づきました。市場にはすごくハイエンドで手も届かないものか、すぐダメになるコスチュームジュエリーしかなくて、自分が本当に身に付けたいと思う製品がなかったんです。そのような問題を解決しようと Vrai and Oroをローンチしました。」

Vrai and Oroはどうやって始めるようになったんですか?

グラフィックデザイン会社を経て、シリコンバレーでビジネス経験のある姉と事業を始めたんです。当時、シリコンバレーでスタートアップがトレンドになっていた直後で、姉のビジネス背景と私のデザインスキルを合わせて会社を作りました。そこで気づいたのは、共通点として、私たちの夫が贈り物を選ぶのにとても不器用だと言うことで ー だったら他の女性たちもパートナーが自分の好みをわかっていない問題を抱えているんじゃないかと思ったんです。私と姉はテクノロジーにすごく興味があったので、エンジニアと協同して、男性がプレゼントを選ぶ時にパートナーの好みとマッチ出来る様なアルゴリズムを作りました。そして男性が女性に贈るプレゼントでジュエリーが多いことからすぐにファインジュエリーに注力したサイトになりました。

その時知ったのは、私たちが一緒に仕事をしていた大手装飾品会社は中国などの海外からあらかじめ製造されているジュエリーを本を見て購入していて、そこから輸送、ラベル付け、値上げ、小売業者に販売、という流れで消費者に売る前から金額を上乗せしていたんです。しかも製品は全部私たちに送られて撮影も任されていました。私はジュエリーを取り扱いながら、品質も良くない、オリジナルでもない、値段だけ10倍もマークアップされて、このような事実を知ったら誰がこんな品物を買うんだろう?と思いました。綺麗にパッケージされて見た目は誤魔化される実態を知って、パッと目が覚めましたね。

結局姉とのビジネスはたたみました。ジュエリー産業の真実を知ってしまって、自分探しをしながら私はなんでファインジュエリーをつけないんだろうと自分に問いかけたんです。で、自分に響く点がないからだと気づきました。市場にはすごくハイエンドで手も届かないものか、すぐダメになるコスチュームジュエリーしかなくて、自分が本当に身に付けたいと思う製品がなかったんです。そのような問題を解決しようと Vrai and Oroをローンチして、他の人も共通の悩みを持っていたんだなとわかりました。

天然で採掘されたダイヤではなく、人工ダイヤモンドを使おうと思ったキッカケは何だったんですか?

起業初期に宝石業界を良く知らなかったころは、天然ダイヤを使っていました。一緒に仕事をしていたダウンタウンLAにある製造業者がイスラエルから直接ダイヤを輸入していて、購入する時にKimberly Process(キンバリープロセス)認定の倫理的ダイヤだと言っていたので、大丈夫かなと思い、特に疑問には思わなかったんです。エンゲージメントリングをローンチする段階で、もっとダイヤが目立つコレクションなので色々と調べ始めました。

リサーチをしていてわかったのが、Kimberly Processはダイヤ業界が少しでも人々を納得させようと作り上げた表面上の認定だけで、実際は何の意味もないということでした。そこでDiamond Foundryを見つけて、早速全てを入れ替えようと思いました。だから初期のころは本当に認識不足でしたね。その時までDiamond Foundryの存在を知らなくて、今は知っているので他の選択肢を選ぼうとは思いません。

Vrai and Oroはコラボレーションを重視するブランドで、スタイリストのSissy Saint-Marieとのラインも発表した / Vrai and Oroからもらったプレゼント、ベストセラーの14k solitaire

「リサーチをしていてわかったのが、Kimberly Processはダイヤ業界が少しでも人々を納得させようと作り上げた表面上の認定だけで、実際は何の意味もないということでした。そこでDiamond Foundryを見つけて、早速全てを入れ替えようと思いました。その時までDiamond Foundryの存在を知らなくて、今は知っているので他の選択肢を選ぼうとは思いません。」

おっしゃる通り、成分構成において天然ダイヤと人工ダイヤに全く違いがないと言うのであれば、人工ダイヤを選ぶのが本当に倫理的なチョイスなんですか?

もちろんです。全く同じ製品が違う過程で作られただけなので、圧倒的に倫理的です。

コレクションの基となるインスピレーションはどこから来ているんですか?

私たちのコレクションはかなりシンプルなので、芸術的造作とはまた違いますね。私はVrai and Oroはどちらかと言うとアート会社ではなく、デザイン会社だといつも言っているんです。アーティストが自己表現とユニークな環境でインスピレーションを見つけることに集中しているとしたら、デザイナーは他の人のために何かを創り上げることからインスピレーションを得ている気がします。私たちのジュエリーは、芸術的なモノからインスパイアされたと言うよりかは、もっと人を中心とした作品です。

自身のデザインに対するアプローチを説明するとしたら?

実用的、必需的、そしてディテールへのこだわりですね。日常生活を妨げるモノじゃなくて、首にかけた時の馴染み感が重要なんです。装飾性よりも親密感に集中したデザインです。

通常私たちが知っている婚約指輪のしきたりとはまた違う、Vanessaさんの見方について聞かせてください。

エンゲージメントリングコレクションをローンチ仕立ての頃、婚約指輪の伝統や結婚指輪の風習についてもっと知りたかったんです。この域で何か新しいことをしている人がいなくて、この話題について話さないのもとても後ろ向きな考え方だと思いました。最近だと結婚前に同棲するカップルや晩婚も多いですしね。もう男は外働、女は家事みたいな考え方はないですよね。みんな平等な時代じゃないですか!誰のせいでもないですけど、その現象を質問しようと思わないのは不思議でした。

女性が喜ぶ様な指輪を選ぶプレッシャーが全部男性にかかっていて、そんなの理不尽じゃないですか。だからもっと話題の棚にあげようと思って、共同的なプロセスに紐づいたMock Box(モック・ボックス)のアイデアを出したんです。私たちのサイトでデザインを3つ選ぶと無料で家まで届く様になっています。本当の指輪じゃなくてデザインとサイズを見るためだけのサンプルで、強引な販売員と関わる必要もなく、自宅のプライベートな空間でゆっくりとフィット感や気に入ったデザインを試してみることが出来るんです。

特に婚約もしていないのにお店に入るのって結構ぎこちない経験ですよね。その他で気づいた点は、男性はダイヤを主に見ていて、女性は指輪を見ていると言うことでした。男の人って車のエンジンを点検するみたいにダイヤのスペックを調べていて、でも女の人って「素敵なダイヤの指輪が欲しい」って言うのがほとんどじゃないですか。だからMock Boxは、良くダイヤ重視になりがちな視点をリング全体に重点がおける様な仕組みになっているんです。

Vrai and OroのイノベーティブなMock Boxは自宅のプライベートな空間でエンゲージメントリングを試せる様になっている /  Vrai and OroのStackable gold rings

「婚約指輪の伝統や結婚指輪の風習についてもっと知りたかったんです。この域で何か新しいことをしている人がいなくて、この話題について話さないのもとても後ろ向きな考え方だと思いました。最近だと結婚前に同棲するカップルや晩婚も多いですしね。もう男は外働、女は家事みたいな考え方はないですよね。みんな平等な時代じゃないですか!」

 

女性起業家兼リーダーとして、利点やチャレンジはありますか?

正直に言えば、チャレンジよりも有利なところが多いですね。期待値が低いから、その予想をはるかに超えられるんです。変な言い方、脅威として見られないから皆壁を作らないし、そのおかげで色んなドアが開くのはあるんじゃないですかね。今の時代、女性が成功するのを社会で支援して、女性が成功を収める姿を見たいんだと思います。

 

長い一日の終わりはどうやってリラックスしていますか?

赤ワイン!仕事が終わって家に帰ると夫が料理をしてくれます。二人でソファに座って何にも喋らずにただ赤ワインを飲んでディナーを食べて、家で楽に過ごします。

 

Vrai and Oroに関する詳細は、以下のリンクでご確認できます。
www.vraiandoro.com

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